日本海に面し山形県と秋田県の県境にある鳥海山。標高2,236mの独立峰で、四季折々にその表情を変えます。
とりわけ6月下旬~8月中旬は高山植物が登山者を魅了します。
鳥海山への登山をお楽しみいただくためには、自然の理解と安全の備えが不可欠です。
下記を参考にしていただき、無理のない登山計画と適切な装備で鳥海山を満喫しましょう。
夏期は鉾立・大平・二ノ滝・湯ノ台の各登山口に登山届け記入所が設置されます。万が一の場合に備え必ず登山届けを提出しましょう。
登山届けはこちらで提出することもできます。(山形県山岳情報ポータルサイトにリンクします)
1.鳥海山の主な登山コース
- 象潟口(鉾立)コース 【きさかた(ほこだて)】
山岳観光道路鳥海ブルーラインを利用します。登山口に売店やお食事処があります。7合目の御浜(おはま)まで登山道が整備されており、登山初心者や初めて鳥海山に登山される方にお勧めのコース。千蛇谷(せんじゃだに)経由の山頂往復は、休憩時間を入れて12時間程度かかります。
詳細はこちら - 吹浦口(大平)コース 【ふくら(おおだいら)】
山岳観光道路鳥海ブルーラインを利用します。もっとも古くからひらけた登山道で、登り始めの急登伝石坂(つたいしざか)を登り切れば、御浜まで快適な登山道が続きます。高山植物を楽しみたい方にお勧めします。
千蛇谷経由の山頂往復は、休憩時間を入れて12時間程度かかります。
詳細はこちら - 湯ノ台口コース 【ゆのだい】
山頂までの距離は最短ですが、急斜面の雪渓など急な坂道が多いコース。残雪が多い分、遅くまで高山植物を楽しむことができます。雪渓の登下降が不安な方は軽アイゼンの携行をお勧めします。休憩時間を入れた山頂往復は約11時間程度かかります。
詳細はこちら
鳥海山は、体力のある方であれば山頂日帰りが可能ですが過信は禁物
山頂登頂で思いのほか体力を消耗し、下山の際に転んでケガをする登山者が少なくありません。どこから登っても山頂までは標高差1,000m以上ですが、外輪山~山頂間には顕著なダウン・アップもありますので体感的な標高差はそれ以上となります。登っている途中で体の不調を感じたら無理をせず、場合によっては引き返すなどご自分の体力に合った登山をお楽しみください。
小屋のまわりでは熊鈴を鳴らさないよう、ご配慮くださいますようお願いします
山小屋には、山歩きに備えて体力を回復すべく休まれている方がいらっしゃいます。
小屋の周辺では熊鈴を鳴らさないように、お静かに、ご配慮くださいますようお願いします。
スピードハイクもまた楽し |
2.装備
鳥海山は海に近く天候も変わりやすいので、季節を問わず万が一に備えた適切な装備が必要です。
- ヘルメット(山頂を目指す場合に持参・着用を推奨します。)
- ザック、登山靴、帽子、手袋、ヘッドランプ、行動食
- 登山地図:初めての方もベテランの方も持参しましょう。
- 雨具:透湿防水性に優れ上下セパレートなもの。使い捨てのカッパ、ポンチョは不可。
- 水など:最低2リットル程度。コース・目的地・季節・天候に応じて準備。
- ストック:登山道保護のため石突きカバーは必ず着用。石突きカバーの予備も持参しましょう。
- その他:6~8月は虫刺され対策が不可欠です。
山頂を目指す方には、ヘルメットの持参を強く推奨します
山頂を目指す場合、途中に急斜面やガレ場(※)があり、転倒・滑落・落石による事故・救助要請事案が毎年のように発生しています。こうしたことから、山頂を目指す場合はヘルメットの持参・着用を強く推奨しています。着用している登山者もすでに多数いますので、違和感は全くありません。ぜひご準備ください。 (※)七五三掛~千蛇谷間、七五三掛~外輪山一帯、あざみ坂、外輪分岐~千蛇谷間、新山一帯
3.季節ごとの目安
5月 | 積雪期の装備が必要。登山道は残雪で出ていません。悪天候時の登山は困難。初心者だけでの登山は不可。晴天時はサングラス必携。 |
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6月 | 残雪で登山道が寸断され迷いやすい。山頂を目指す場合はアイゼン持参を推奨。初心者だけでの登山は不可。 |
7月 | 山小屋の営業開始。高山植物のシーズン。残雪あり。梅雨明け後は水分を通常時より1リットル以上多く持参。 |
8月 | 水分を通常時より1リットル以上多く持参。日没が日々早くなるので山頂日帰りはヘッドランプを必ず持参。 |
9月 | 山小屋の営業終了。寒さ対策必要。紅葉が山頂部から始まる。下旬は草紅葉。 |
10月 | 例年10日前後に初冠雪。冬装備が必要。単独行の遭難事故多い。初心者だけでの登山は不可。 |
※11月上旬から4月下旬はアクセス道路冬期閉鎖
4.登山ガイドのご案内
詳しくはこちらをご覧ください。
5.美しい鳥海山を守るため
- 休憩は登山道上や登山道脇の岩などを利用し、植生の保護にご協力をお願いいたします。
- 写真撮影は、登山道上からマナーを守ってお願いいたします。高山植物が咲き乱れる様を写真に撮りたいのはみな同じですが、登山道を外れて草地に踏み入って写真を撮る方が少なくありません。そうした写真がSNSにアップされていると心が痛みます。
- ゴミはお持ち帰りください。最近は飴の小袋なども落ちていることがほとんどなく、気持ちの良い登山道となっています。皆様のご協力に感謝申し上げます。
- 山中での宿泊は山小屋をご利用ください。キャンプは禁止されています。
6.日帰り温泉等のご紹介
登山後に汗を流したい方はこちらをご覧ください。
鳥海山は「ちょうかいざん」と「ちょうかいさん」、どちらが正しい?
どちらも正解です。山形県側では「ちょうかいざん」、秋田県側は「ちょうかいさん」と呼ぶのが一般的です。
秋田県の方は、「山形は訛って(なまって)るからな」とよく言いいます。(文字では発音が伝わらないのが残念。)
遊佐町に口ノ宮がある鳥海山大物忌神社の祝詞(のりと)は「ちょうかいざん」と発音しています。
鳥海山周辺に暮らす人々は昔も今も寛容性を大切にし、山形は「ざん」、秋田は「さん」と、それぞれの言い方を尊重しています。
鳥海山の山頂は「新山(しんざん)」といいます
鳥海山では山頂のことを新山(しんざん)と言います。1801年の噴火でできた直径約300m、高さ約70mの溶岩ドームです。
山頂御室小屋前の広場から新山のてっぺん(標高2236m)へは、手足を使う登降で往復1時間程度かかります。写真のとおり大岩ゴロゴロの登り降りなので、「三点確保」が必須です。同行者以外でも見ていて不安な方にはコツをやさしく教えてあげてください。ヘルメットの着用も推奨しています。てっぺんは狭いので登頂の健闘を称えあいつつ譲り合って過ごしましょう。
鳥海山・飛島ジオパーク(新山溶岩ドームと火山弾)