鮭は約4年もの間、北洋で大回遊しながら成長し、生まれ育ったふるさとの川に戻り、産卵し一生を終えます。
しかし自然界では卵が土砂等に埋もれたり、他の魚に食べられてしまうなど、稚魚に育つまでに相当数が減ってしまいます。
たくさんの鮭が遡上する遊佐町では、親鮭から人工的に採卵し、ふ化管理して稚魚を育て放流する「人工ふ化事業」が行われています。
遊佐町を流れる月光川水系は古くから鮭が遡上する川でした。江戸時代に荘内藩主が年々減少する鮭を憂い、牛渡川、滝淵川を鮭の種川(自然産卵を保護する川)に定めました。明治9年に欧米式の人工ふ化法が日本に導入されると山形県でもその技術が取り入れられ、遊佐町では「庄内式」と呼ばれる独自の技術をあみだし、人工ふ化事業が進められてきました。
昭和50年代に漁具等の進歩により鮭の遡上数が著しく減少、月光川水系の7河川(月光川、牛渡川、滝淵川、洗沢川、高瀬川、西通川、万部通川)にあったふ化場は、現在、箕輪(牛渡川)、枡川(滝淵川)、高瀬川、洗沢川の4箇所となりました。
技術の向上や環境保全など、長年の努力により、元気な稚魚を育て親鮭となって帰ってくる鮭の命を繋いでいます。
鮭が安心して帰って来られる自然環境を大切に守っていきましょう。
遡上シーズンは9月下旬~1月上旬まで、このなかでも特に2つのピークがあります。
前期群:10月中旬~11月上旬
後期群:11月下旬~12月中旬
鮭の採捕の様子は見学できます。期間は10月~12月、各採捕場とも午前8時~主に午前中に採捕作業を行います。
見学は無料で、鮭は購入できます。
採捕場 | 電話番号 |
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箕輪(みのわ) ホームページはこちら | 0234-77-2575 |
枡川(ますかわ) ホームページはこちら | 0234-77-2083 |
高瀬川(たかせがわ) | 0234-72-2237 |
問合せ 遊佐鳥海観光協会 電話:0234-72-5666
庄内で鮭は「ヨオ」と呼ばれ、その語源は「魚(ウオ)」が転じたものと言われています。つまり魚の代表、古くからここに暮らす人々は食糧としてその恵みを受けてきたと考えられます。
頭から内臓まで捨てるところ無く食べられる鮭。焼き鮭やどんがら汁などにしていただいたり、味噌粕漬け、昆布巻き、鮭とば、寒風干しなど加工品も販売され、美味しく食べ継がれています。
「メジカ」のふるさと月光川
北海道オホーツク海沿岸で、産卵の約25~35日前に捕獲されたサケを「メジカ」と言います。成熟前のため通常のサケに比べて目と鼻先の間隔が短く、背中は青く、体側は銀色に輝き、脂肪分が多く美味であることから、秋サケの中では最高の評価を受けています。
このメジカは、北海道でふ化・放流してもメジカにならないことから、北海道稚内水産試験場が母川を調査したところ、本州日本海側の河川と判明し、月光川もメジカの主要な生まれ故郷と確認されました。